アドブルーはディーゼル車の排ガス浄化に欠かせない尿素水のことを指し、
ディーゼルエンジンがもたらす環境への負荷を低減する
重要な役割を担っています。
しかし警告灯が点灯すると正常な運行に支障が出ることがあり、
原因を正確に把握して対応することが求められます。
今回はアドブルー警告灯が点灯する主な理由や、アドブルーの噴射異常や
詰まりが発生した際の具体的な対処法を解説します。
またトラブルを未然に防ぐためのポイントも併せて紹介します。
目次
アドブルーとは?
アドブルー警告灯が点灯する主な理由と対処法
噴射異常や詰まりの原因とその予防策
修理や診断に役立つツールの紹介
まとめ
アドブルーとは?
アドブルー(AdBlue®)は、ディーゼルエンジン車に搭載される排出ガス後処理装置
「尿素SCRシステム」で使用される高純度の尿素水溶液です。
排気ガスにアドブルーを噴射することで、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を
無害な窒素と水に変える働きがあり、環境規制をクリアするために
重要な役割を果たします。
アドブルーは専用のタンクに注入され、エンジンの排気系統に供給されますが、
適切な管理をしなければ噴射異常や詰まりが起こり、
警告灯が点灯する原因になることがあります。
※AdBlue®はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です
アドブルー警告灯が点灯する主な理由と対処法
警告灯が点灯する理由と、その対処法は以下になります。
・アドブルーの残量不足
アドブルータンクが空に近くなると警告灯が点灯し、補充せずに走行を続けるとエンジン出力が制限されることもあるので、残量不足の際は早急にアドブルーを補充します。
・噴射装置の不具合
アドブルーが正しく排気ガスに噴射されない際にも警告灯が点灯します。噴射ポンプやノズルの故障が原因となることがあります。噴射異常が疑われる場合は点検・修理を行い、故障なら交換が必要です。
・アドブルーの結晶化や不純物の混入
噴射ノズルやフィルターに結晶化したアドブルーや不純物が詰まることで、システムが正常に機能せず警告灯が点灯します。結晶化や不純物の詰まりが原因の場合、詰まっているノズルやフィルターを専用クリーナーで清掃、場合によっては部品交換をすることもあります。
・センサーの異常
尿素センサーやSCRシステムに関連するセンサーの故障の際に警告灯が点灯し、アドブルーの品質や温度が正確に測定できなくなる可能性があります。確認のポイントは噴射ノズル(主にUDトラック。他は噴射装置)の目視チェック、フィルターの清掃や交換、ポンプやセンサーの動作確認で、これらの作業にはスキャンツールが役立ちます。例えばG-SCANなどのツールを使用することで、噴射装置やセンサーの異常を特定できます。
警告灯の点灯の際、対処法を実施することでアドブルーシステムの正常な機能を維持し、警告灯の点灯を防ぐことができます。
噴射異常や詰まりの原因とその予防策
噴射異常やノズル、フィルターの詰まりの原因としては以下のことが考えられます。
・結晶化
アドブルーは温度変化によって結晶化することがあり、この結晶が噴射ノズルや配管を詰まらせ異常が発生します。予防策としては品質の高いアドブルーの使用と適切な保管・管理、タンクや配管の定期点検があります。
・タンクやフィルターの汚れ
タンクやフィルターを長期間使用するとタンクやフィルター内に汚れが蓄積し、アドブルーの流れを阻害することがあります。予防としては定期的な点検と清掃、必要に応じたフィルター交換です。
アドブルーシステムの異常が解消された後も警告灯が消えない場合は、スキャンツールを使用してシステムの初期化またはリセットを行う必要があります。
修理や診断に役立つツールの紹介
アドブルーシステムのトラブルを診断・修理する際に役立つのがスキャンツールです。
スキャンツール(例:G-SCAN)
G-SCANはアドブルーシステムの診断や警告灯のリセットが可能です(※)
アドブルーシステムのトラブル診断や修理では、G-SCANが非常に有効的です。使用することで警告灯の原因を診断し、不具合を解消した後、必要に応じてリセットすることが可能です。たとえばアドブルーの残量不足やセンサー異常が解消した際、警告灯を消すことができます。さらにコントロールユニット(ECU)などから故障コードを読み取り、アドブルー関連の異常箇所を診断して修理に役立てられます。尿素センサーや温度センサーの状態もリアルタイムでモニタリングできるため、異常を発見次第、適切な対応を行うことが可能です。またシステムの動作状況をデータとして記録できることから予防的なメンテナンスや早期の異常発見にも役立てることができます。
(※)車種により対応・未対応があります
まとめ
アドブルー警告灯が点灯する原因や対処法を理解することは、車両の安全性や環境性能を維持するために非常に重要です。日頃から規格に合ったアドブルーの使用と適切なメンテナンスを心がけることで、トラブルの発生は防ぐことができます。また、異常が発生した場合にはスキャンツールを活用して迅速に診断し、適切な対応を行うことが重要です。定期的な点検と予防的なメンテナンス、異常時の確かな対応が、車両の快適なコンディジョンと安全な運行につながります。