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EGR(排気ガス再循環)清掃の重要性と手順

EGRシステムの清掃でエンジン性能向上・燃費改善・排出ガス削減!EGRとは何か、定期清掃の重要性やメリット、清掃手順などを詳しく解説。車検前のメンテナンスにも最適です。


EGR(排気ガス再循環)清掃の重要性と手順

 

1. はじめに:EGRシステムとは?

Car mechanic fixing a broken engine at the garage

EGR(Exhaust Gas Recirculation、排気ガス再循環)システムは、自動車の排出ガスを減らすための重要な技術です。

 

排気ガスの一部を再循環させて燃焼室に戻し、燃焼温度を下げることで、NOx(窒素酸化物)の排出を減少させる役割を果たします。

 

EGRシステムが適切に動作しないと、エンジン性能が低下し、燃費悪化や排出ガス規制の違反につながる可能性があります。

 

2. EGRシステムの問題点と清掃の必要性

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EGRシステムは長期間使用することで、排気ガスに含まれるススやカーボンが堆積し、バルブやパイプが詰まることがあります。

 

これにより、EGRバルブが正しく開閉しなくなり、エンジンの異常や燃費の悪化を引き起こす原因となります。そのため、定期的な清掃が必要です。

 

3. EGR清掃のメリット

Mechanic reparing car while consulting futuristic interface in blue

エンジン性能の向上:EGRシステムが正常に作動することで、エンジンの燃焼効率が大幅に向上します。これにより、エンジンが適切なパワーを発揮できるようになり、パワー不足が解消されます。また、スムーズな加速が可能となり、発進時や高速走行時におけるレスポンスの向上が期待できます。エンジンの性能が向上することで、運転の楽しさや快適さが増すだけでなく、車両の寿命を延ばすことにもつながります。


燃費の改善:EGRシステムによってスムーズで効率的な燃焼が行われることで、燃料の燃焼効率が高まり、無駄な燃料消費が抑えられます。この結果、燃費が向上し、ガソリンスタンドに行く回数が減るため、経済的なメリットを享受できます。また、燃料の消費が抑えられることで、長期間にわたって燃料費を削減することが可能になります。


排出ガスの削減:EGRシステムが正常に作動することで、NOx(窒素酸化物)の排出が効果的に抑えられます。これにより、環境に対する悪影響が軽減され、より環境に優しい車両となります。排出ガスの削減は、地球温暖化の防止や大気汚染の改善に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献します。環境負荷を減らすことで、車両の使用がより安心で持続可能なものとなります。

4. EGR清掃の頻度と目安

Mature mechanic standing in front of a cars diagram background while looking at camera

 

EGRの清掃頻度は車両の使用状況によります。

特に、アイドリングの時間が長い車両や、都市部での短距離運転が多い車は、

EGRシステムにカーボンが溜まりやすくなります。

定期的な点検と清掃を行うことで、トラブルを未然に防ぐことが重要です。

 

5. EGR清掃の手順

Portrait of a smiling young mechanic next to background with car engine and heart line

EGRシステムの清掃は専門的な作業ですが、ここでは一般的な流れを紹介します。

 

準備と安全対策


EGR清掃を開始する前に、まず必要な工具や清掃剤を十分に準備しておくことが重要です。例えば、スパナ、レンチ、ドライバーセット、EGRクリーナー、ラグや手袋などを用意しましょう。また、車両のバッテリーを切断し、電源を完全にオフにすることで安全を確保します。この作業を行う際には、バッテリーのマイナス端子を最初に外し、最後に取り付けるようにします。さらに、作業中に火災を防ぐため、エンジンが完全に冷えた状態で作業を開始することが必要です。エンジンが温かいままだと、火傷の危険があるため、少なくとも数時間待ってから作業を開始するのが賢明です。


EGRバルブの取り外し


次に、車両のマニュアルに従って、EGRバルブを慎重に取り外します。この際、周囲のコネクターやホースを傷つけないように注意が必要です。EGRバルブはエンジンの一部として重要な役割を果たしているため、取り扱いには細心の注意を払ってください。取り外しの際には、EGRパイプも同時に外しておくと清掃がしやすくなります。パイプの取り外しは、後の作業をスムーズに進めるための重要なステップです。取り外しの際には、ボルトやネジを紛失しないように、整理して保管しておきます。


バルブとパイプの清掃


次に、専用のEGRクリーナーを使用して、バルブやパイプに付着したカーボンやススを徹底的に除去します。清掃には、ブラシやエアコンプレッサーを活用し、しつこい汚れも丁寧に落とすことが求められます。ブラシで擦るときは、力を入れすぎて部品を傷つけないように慎重に作業を進めましょう。また、クリーナーを使用する際は、使用方法を守り、換気の良い場所で作業を行い、安全性を確保します。


清掃後の確認


清掃が終わったら、バルブとパイプを元に戻し、すべての接続部分がしっかり装着されていることを確認します。次に、再度エンジンを始動して、EGRシステムが正常に動作しているかを確認します。このとき、異常がないか、チェックエンジンランプが点灯していないかを注意深く観察します。異常が発見された場合は、再度取り付け部分を確認し、必要に応じて調整や再点検を行います。これにより、エンジンの性能が正常であることを確実に確認し、安全に運転を再開することができます。

6. EGRクリーナーの選び方

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EGRクリーナーにはさまざまな種類があり、それぞれの製品で特徴が異なります。

選ぶ際のポイントとしては、以下の点が挙げられます。


効果の持続性:EGRクリーナーを選ぶ際には、その製品がどの程度の期間にわたって効果を発揮し続けるかを確認することが重要です。持続性が高い製品は、清掃後も長期間にわたりEGRシステムの性能を維持し、頻繁な再清掃を防ぐことができます。これにより、エンジンの効率的な運転をより長く維持することが可能となります。


使用の簡便さ:クリーナーの取り扱いがどれだけ簡単であるか、安全に使用できるかも重要な選択基準です。簡便に使用できる製品は、清掃作業の時間を短縮でき、初心者でも安心して作業を行うことができます。また、安全性の高い製品は、誤って使用した場合にもリスクを最小限に抑えることができるため、作業中の不安を軽減します。


価格:最後に、クリーナーの価格も重要な要素です。コストパフォーマンスに優れ、予算に合った価格帯の製品を選ぶことで、経済的な負担を軽減しつつ、定期的にクリーナーを使用することが可能になります。価格と性能のバランスを考慮することで、長期的に見て最適な選択ができるでしょう。


 

7. EGR清掃と車検

車両診断している整備士の画像

日本では車検の際、排出ガス検査が義務付けられており、

EGRシステムの不調はこの検査で引っかかる可能性があります。

特にEGRバルブが故障している場合、排出ガスの基準を満たさなくなることがあるため、

車検前にEGR清掃を行っておくと安心です。

 

※補足

G-SCANではEGRに関するデータが見れたりアクティブテストが行えます。
(メーカー・車種により対応・未対応があります。)

それにより、効率的な故障診断が可能になります。

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8. まとめ

EGRシステムは、

自動車のエンジン性能と環境性能にとって非常に重要な役割を担っています。

しかし、長期間の使用によってカーボンやススが溜まりやすいため、

定期的な清掃が必要不可欠です。

適切なメンテナンスを行うことで、エンジンの効率向上、燃費の改善、

そして排出ガス削減といったメリットが得られます。

EGR清掃を定期的に行い、車両を最適な状態に保ちましょう。

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