今回はCVT(無段変速機)に関しての解説です。
スムーズな走行と高燃費が魅力のCVTですが、その性能を長く維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
CVT特有の構造に合わせた適切な点検と整備を行うことで、トラブルを未然に防ぎ安心して走行を続けることができます。
ここではCVTオイルの交換やCVTトランスミッションを中心に、CVT車を快適に保つためのメンテナンス方法などを解説します。
CVTの特徴
CVTはギアの段階を持たず滑らかに変速するトランスミッションです。
エンジンの回転数を効率よく調整することができ、シンプルな設計が車両の軽量化にもつながることからスムーズな加速と優れた燃費を実現します。
さらに運転中の衝撃も少なく快適な乗り心地も魅力です。
CVTトランスミッションについて
CVTトランスミッションは、従来のギアが固定されたオートマチックトランスミッション(AT)とは異なります。
ギアを固定せず無段階で変速を行う仕組みでエンジンの回転数に応じて最適なギア比を自動調整します。
CVTオイルとは
CVTオイルとはCVT専用のオイルで、CVT内の金属ベルトなどが滑らかに動いて適切な変速が行われるようにします。
さらに部品の摩耗や過熱を防ぎCVT全体の寿命を延ばす役割も果たします。
CVTオイルは通常のATオイルとは異なる特性を持ち、専用のものを使用することが重要です。
適切な種類と交換時期を守ることでCVTの性能を最大限に引き出し、トラブルなどを防ぐことができます。
オイル交換の必要性と交換のタイミング
CVTオイルは、CVTがスムーズに動作するために欠かせないものですが、長期間使用すると劣化し、潤滑性能の低下や内部に汚れがたまるなどして変速不良や部品の損傷を起こします。
また摩擦が増えることでトランスミッションの不安定な動作や、最悪の場合トランスミッション自体の故障を引き起こす可能性もあります。
下記は主な劣化原因です。
・高温環境での連続走行
オイルが高温にさらされることで劣化が早まります。
・短距離走行の繰り返し
オイルが温まる前にエンジンが停止することが多いとオイルが劣化しやすくなります。
・重い荷物を積んだ状態での走行
負荷がかかるとオイルにかかるストレスが増えます。
これを防ぐため定期的なオイル交換が必要です。
交換時期は車種や使用状況によりますが、走行距離50,000〜100,000kmでの交換が推奨されています。
取扱説明書に記載されるメンテナンススケジュールなどを参考に、適切なタイミングでの交換が重要です。
オイル交換のサインとポイント
交換のサインとして、まず変速時に滑りや遅れを感じることがあります。
ギアがスムーズに切り替わらず運転中に違和感がある場合もオイルの劣化が原因かもしれません。
また、エンジンの回転数が高いまま車速が上がらない場合や、運転中の異音、CVTやオイル温度の警告灯の点灯も交換のサインであり、黒く焦げたような臭いがするオイルは劣化しています。
交換のポイントは、まず大前提として専用のオイルを使うことです。
適合しないオイルではトランスミッションに大きなダメージを与えることがあるので、必ず適切なオイルを選ばなければなりません。
交換後はトランスミッションの状態を確認して試運転を行い、変速がスムーズに行われるかをチェックして完了となります。
交換の費用
費用は車種や使用するオイルの種類などによって異なりますが、一般的には5,000~15,000円程度が目安になります。
適切なオイルを使用し定期的にオイル交換をすることで、トランスミッションの寿命を延ばし修理費用の発生を防ぐことができます。
CVT車のメンテナンスのポイント
CVT車を長く快適に使用するには、CVTトランスミッションの性能を保つための定期点検が重要です。
オイルの劣化状態や適正量の確認、トランスミッション本体の動作異常や異音の有無をチェックします。
また、スキャンツールを使用して内部センサーの状態を確認したり、CVT劣化度を確認したりしてもよいでしょう。(車種・メーカーにより対応・未対応があります。)
急加速や重い荷物を積んでの長時間運転はトランスミッションに負担をかけるため、こうした運転を控えることも大切です。
(※上記写真はG-SCAN Ztab)
まとめ
CVTオイル交換は、CVTトランスミッションのスムーズな動作と長寿命を保つために欠かせないメンテナンスです。
CVTオイルの劣化はトランスミッションの不安定な動作と車両の性能に悪影響を与えます。
定期的なオイル交換と点検、異常を感じた際の早めの対応が、トラブルを未然に防ぎ快適な車両パフォーマンスと安全なドライブへとつながります。