整備技術情報
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ハイブリッド車で必要なメンテナンスモードとは？トヨタ・ホンダのハイブリッド車のメンテナンスモード解説
メンテナンスモードはエンジンを常時運転の状態に保つための機能で、エンジンまわりの整備や車検時などエンジンをかけ続ける必要がある場面で使用されます。今回は、この機能の必要性や切り替え手順を紹介します。
株式会社インターサポート マーケティング部
5 27, 2025
ハイブリッド車の整備に欠かせないメンテナンスモードについて、
基礎的なことから切り替え手順、注意点などを分かりやすく解説します。
目次
はじめに
ハイブリッド車はバッテリーの充電状態によってエンジンが自動で停止するため、
整備や車検時にはエンジンを常時運転させる「メンテナンスモード」にする必要が
あります。このモードはシフトやペダルの特定の操作を組み合わせた方法で切り替
えることができますが、誤操作を防ぐため手順が複雑です。
メンテナンスモードとは
ハイブリッド車はメインバッテリーが良好な充電状態の際、停車中にエンジンが始
動しない仕組みになっています。またエンジンが始動しても一定の充電量を超えると
自動停止します。しかし、エンジンを常に動かしておく必要のある作業もあり、そ
の際「メンテナンスモード」という常時運転にする機能を使用します。
メンテナンスモードに切り替えるとどうなる？
メンテナンスモードに切り替えるとエンジンが常時運転の状態になり、ディスプレ
イの表示や警告灯の点灯・点滅で確認することができます。これによりエンジンま
わりの整備や、車検時の排気音・排ガス検査など、エンジンを動かしたまま行う作
業が可能になります。また、このモードではABSやVSC（横滑り制御）、TRC（タイ
ヤ空転抑制）などの機能がOFFになります。ただし、ホンダ車のメンテナンスモー
ドではVSAやABS / TCS / EBCがOFFにならないため注意が必要です。
切り替え手順例
【トヨタ車】
１：スタートスイッチをOFFにして、ブレーキを踏まずにスタートスイッチを
２回押します。（イグニッションONの状態）
２：シフトが「P」の状態かを確認し、移行したいモードの回数だけアクセルを
全開まで踏み込み離します。
※アクセルの操作は「全開→離す」で１回
・２回：２WD整備モード
制御内容／エンジン強制アイドリング（シフトP） 、TRC装置の作動解除、
リヤモーター制御のシャットダウン（２WD走行）
・３回：２WD認証モード
制御内容／TRCの作動解除、リヤモーター制御のシャットダウン（２WD走行）
・４回：４WD整備モード
制御内容／エンジン強制アイドリング（シフトP）、TRCの作動解除
・５回：４WD認証モード
制御内容／TRCの作動解除
3：ブレーキは踏んだ状態でシフトを「N」に合わせ、再度アクセルを
上記の回数踏み込みます。
4：ブレーキを踏んだ状態でシフトを「P」に戻し、再度アクセルを
上記の回数踏み込みます。
5：60秒以内に１～４を行うとメンテナンスモードに移行が完了。ブレーキを
踏んだままスタートスイッチを押すと、エンジンが始動して連続運転になります。
6：メンテナンスモードの解除は、スタートスイッチを押してエンジン停止で
完了です。
【ホンダ車】
１：スタートスイッチをOFFにして、ブレーキを踏まずにONにします。
２：シフトPでアクセルを２回踏み込みます（全開 → 離す → 全開 → 離す）。
３：ブレーキを踏んだ状態でシフト「N」に合わせ、再度アクセルを全開まで
２回踏み込みます。
４：ブレーキを踏んだ状態でシフト「P」に戻し、再度アクセルを
２回踏み込みます。
５：ブレーキを踏んだままスタートスイッチを押すと、エンジンが始動して
連続運転になります。以上の工程を60秒以内に行えば移行完了です。
※メンテナンスモード起動中もVSAは通常作動（※）しています
６：メンテナンスモードの解除は、スタートスイッチを押して
エンジンを停止すれば完了です。
（※）VSAの解除方法
エンジンを始動し、ブレーキは踏んだままで以下の作業を30秒以内に行います。
１：パーキングブレーキを解除し、ブレーキを踏んだままの状態で
VSA OFFスイッチを長押し、VSA OFF警告灯が点灯することを確認します。
２：VSA OFFスイッチを押し、VSA OFF警告灯が消灯することを確認します。
３：パーキングブレーキをかけブレーキを放します。この状態でVSA OFF
スイッチを長押しして、VSA OFF警告灯が点灯することを確認します。
４：VSA OFFスイッチを押し、VSA OFF警告灯が消灯することを確認します。
５：パーキングブレーキをかけたままブレーキを踏みます。この状態でVSA OFF
スイッチを長押ししてVSA OFF警告灯の点灯を確認します。
６：VSA OFFスイッチを押します。VSA OFF警告灯が点滅、VSA警告灯が点灯して
VSAメンテナンスモードに切り替わります。
７：VSAメンテナンスモードの解除は、スタートスイッチのOFFかVSA OFF
スイッチを押し、警告灯が消灯したことを確認します。
※操作中に条件から外れたり、操作開始から30秒以上経過してしまった場合は、スタートスイッチをOFFにして、10秒以上間隔をあけてから再操作してください
※VSAが故障を検知した場合、メンテナンスモードはキャンセルされます
まとめ
メンテナンスモードへの切り替えは、適切な手順で行うことが重要です。車種ごと
に仕様や注意点が異なる場合があるため、正しい理解と対応が求められます。
G-SCANでもメンテナンスモードへの切り替えや車両状態の確認が可能なので、
活用いただくことでより効果的な整備につなげることができます。